試作 プラスチック射出成形について
試作プラスチック射出成形は試作又は小ロットに対応し、金型も簡易金型を製作にて対応します。
本金型を制作するとコストが高く試作や小ロットには向いてない為、試作簡易金型にて試作・小ロットに対応します。
試作金型は短納期・低コストが求められ、量産のプラスチック射出成形時に近い条件が求められます。
試作プラスチック射出成形は、量産前の試作段階で行う射出成形加工のことを指します。製品設計の確認、機能評価、組み立てチェックなどを目的に、小ロットかつ短納期で実製品と同等の品質を再現することが可能です。
カセット金型にて対応
試作金型の製作はカセット金型を使用し、モールドベースは共用して成形品の製品形状部の入れ子・パーツのみ製作します。
製作部品を抑えれるため、本金型と比較してコストダウンに繋がります。
アルミ金型
量産金型で使用する通常の鋼材を使用するのではなく、アルミなどの切削性の良い鋼材を使用します。
材料の低コスト、加工時間の短縮にて加工費の削減、納期の短縮に繋がりメリットがあります。
アルミは通常の金型鋼材に比較して強度が無いので、樹脂の種類にもよりますが成形ショット数が限られ試作や小ロットのみに適します。
簡易金型の構造
簡易金型の構造は本金型と比較して大きく違うところはカセット金型での対応、アンダーカット部の構造をスライドや傾斜コアを使用せず、入れ駒での対応になります。
入れ駒での対応になりますので、成形時に治具などを使用して成形品から入れ駒を取り外す作業が必要になります。
試作射出成形
上記アンダーカット部などが入れ子までの対応になりますので、試作成形時には成形品から入れ駒を取り外す作業が必要になります。
入れ駒を取り外す作業がありますので、成形サイクルがかかり、人も成形機につきますので成形コストが量産成形に比べると成形単価が上がってしまいます。
試作プラスチック射出成形の概要
プラスチック射出成形は、樹脂を加熱・溶融し、金型に高圧で射出して成形する方法です。試作段階では、製品の形状・材質・機能を確認するために、量産前に少量だけ製作することが求められます。
試作射出成形の主な目的
目的 | 内容 |
---|---|
設計の妥当性確認 | 寸法・構造・組付け性を事前にチェック |
材質・強度の検証 | 実使用樹脂を用いて強度・耐久性を評価 |
意匠確認 | 外観や質感、色の確認 |
初期ユーザーテスト用 | モックアップではなく実製品に近い状態で検証 |
量産金型前のリスク低減 | 大型金型投資の前に試作で課題を洗い出す |
試作射出成形の手法と特徴
手法 | 特徴 |
---|---|
アルミ簡易金型 | 低コスト・短納期。数十~数百個の成形が可能 |
スチール金型(量産兼用) | 試作後そのまま量産に移行できる |
3Dプリンタ製の型 | 超短納期・試作1~数個に対応 |
主な樹脂材料例
材料名 | 特徴・用途例 |
---|---|
ABS | 成形性・耐衝撃性◎、家電部品などに多用 |
PP | 軽量・耐薬品性、生活用品・医療用に |
PC | 高耐衝撃性、光学部品やカバー類に |
POM | 機械的強度に優れ、ギア・機構部品に |
TPE / TPU | 弾力性があり、グリップやパッキンに |
メリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
実際の量産形状・材質で評価が可能 | 金型製作が必要なため初期費用がかかる |
組立・構造・機能などの総合的な検証ができる | 切削や3Dプリンタと比べると日数がかかる |
品質にムラがなく、実機テストにも使用できる | 材料変更や形状変更には金型修正が必要 |
試作射出成形の活用シーン
- 製品量産前の最終設計確認
- 取引先への初期サンプル提出
- 製品リリース前のマーケットテスト
- 医療機器・自動車部品などの安全評価
まとめ
試作プラスチック射出成形は、量産品質を確保したうえでの製品検証に最適な手段です。
特に「高精度」「実材質」「機能性確認」が求められる業界において、設計の最終チェックや投資リスクの低減に大きく貢献します。