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試作板金について
試作板金とは金属をカットや曲げ、絞りなどの加工を本金型を製作せずに金属を加工する試作に特化した板金加工法です。
本金型を製作しないので金型費は低価格、リードタイムも短縮出来ます。
試作板金は製品一個からの対応が可能で製品開発に貢献しています。
試作板金の加工
試作板金加工には様々な加工工程があります。
プログラム作成、レーザー加工、ワイヤーカット加工、マシニング加工、タレパン加工、ベンダー加工、などがあります。
プログラムの作成
製品図面を展開し、加工に各加工工程に必要なプログラムを作成します。
レーザー加工
レーザー加工にて金属板材料を切断しブランクなどを製作します。
ワイヤーカット加工に比べ加工時間が非常に早い。
レーザーカット加工後、バリが発生するのでバリを除去する工程が必要になります。
ワイヤーカット加工
ブランク加工や金型の製作にワイヤーカット加工をおこないます。
ワイヤーカット加工はレーザー加工に比べ加工時間が非常にかかります。
寸法精度は良好で、バリも出ません。
ターレットパンチプレス加工(タレパン)
ターレットパンチプレス(タレパン)で打ち抜き加工などを行います。
タレパンに数十種類金型をセット出来るようになっており、様々の形状を打ち抜けるようになっています。
試作板金の概要
試作板金(しさくばんきん)とは、製品開発段階で金属板を用いて試作品を製作する板金加工の一種で、設計検証・組付け確認・展示サンプル用などに用いられます。多品種少量生産に対応できる柔軟性と短納期対応力が特徴です。
薄い金属板(主に0.5~3mm程度)を切断・曲げ・溶接・絞りなどで加工し、試作部品や製品形状を立ち上げる加工技術です。
金型を使わない、もしくは簡易金型で製作できるため、スピーディかつコストを抑えた製品検証が可能です。
試作板金の主な工程
- 材料選定・手配
→ 鉄、ステンレス、アルミ、銅など - 板金加工
→ レーザー加工、タレパン加工、ベンディング(曲げ)など - 組立・溶接・仕上げ
→ 溶接、スポット、カシメなど - 表面処理(必要に応じて)
→ 塗装、アルマイト、メッキなど - 検査・納品
→ 寸法検査・外観チェックなど
試作板金が選ばれる理由
理由 | 説明 |
---|---|
金型が不要/簡易で済む | 初期コストが抑えられ、設計変更にも柔軟対応 |
短納期対応が可能 | 数日~1週間での立ち上げが可能なケースも多い |
設計の実証ができる | 組付け確認・寸法検証・構造テストに最適 |
加工自由度が高い | 試作・評価後の改良や調整も迅速に行える |
使用される代表的な金属材料
材質 | 特徴 |
---|---|
SUS304(ステンレス) | 耐食性・耐熱性◎、キッチン機器や医療用途など |
SPCC(冷間圧延鋼板) | コスト重視の試作に多用される |
アルミ(A5052等) | 軽量・加工性良好、筐体やケース部品に |
銅・黄銅 | 電気的特性が必要な試作品に |
試作板金の活用例
- 製品開発初期段階の形状確認用モックアップ
- 試験機や治具の製作
- 量産前の試作検証(組立・強度・熱変形など)
- 展示会用モデル、営業用サンプル
試作板金と他の試作手法の違い
試作法 | 特徴 |
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試作板金 | 実製品に近い材料・工程で確認可能。強度◎ |
切削加工 | 精密部品に向くが、板金形状には不向き |
3Dプリント | 形状自由度◎、ただし強度や素材特性に限界あり |
樹脂成形試作 | 外観・機能確認向け。金属ではない点に注意 |