樹脂・金属 切削加工について
切削加工とは、プラスチック材料の板材・丸棒材又は金属材料の板材・丸棒材などから機械加工を施し製品を製作する加工法です。
金型を使用しない生産法で、NC旋盤・複合旋盤・マシニングセンター・フライスなどの機械加工にて生産します。
切削加工のメリットとしましては、金型の製作が必要ないので少量の生産には向いています。
また、製品の寸法精度が良好で、多種多様な形状の製作が出来ます。
切削加工のデメリットとしましては、一つ一つ機械加工をにて生産する為、製品形状が複雑になるほど加工サイクルが長くなりコストが上がります。金型に比べて、大量生産には向いてない。
旋盤加工
旋盤加工とは、丸棒材の材料を回転させて加工します。材料を回転させてバイト(切削工具)で材料を加工していき製品形状を形成します。
バイトには様々な種類があり、各加工により使い分けて使用します。
加工法として、バイト、ドリルなど工具を用いねじ切り加工、テーパー加工、溝加工、突切り、曲面加工、C面加工、穴あけ加工、ローレット加工など様々な加工に対応出来ます。
フライス加工
フライス加工は、テーブルに加工を施す材料をセット固定し、主軸にフルバック、エンドミル、ドリルなどの切削工具を取り付け、工具を高速回転させてセットした材料を加工していきます。
樹脂切削加工
樹脂切削加工(じゅしせっさくかこう)とは、プラスチック素材を切削機械(NC旋盤やマシニングセンタなど)で削って目的の形状に加工する方法です。金属加工と似た手法で、試作品や少量多品種の製作に適しています。
◉ 特徴
- 金型不要で初期費用が安いため、小ロット生産や試作に向いています。
- 高精度な加工が可能で、複雑形状にも対応。
- 汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックまで幅広く対応可能。
加工の流れ
- 材料準備
→ 板材・丸棒などの素材を用意 - 機械加工(NC旋盤・マシニングセンタ等)
→ 切削によって形状を成形 - 仕上げ加工・検査
→ 面取り・バリ取り・寸法検査
よく使用される樹脂素材
材料名 | 特徴・用途例 |
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アクリル(PMMA) | 光学部品・透明カバーなどに使用 |
ポリアセタール(POM) | 機械部品向け。寸法安定性が高い |
ポリカーボネート(PC) | 耐衝撃性が高く、透明性もある |
ナイロン(PA) | 滑りが良く、ギアやブッシュに多用 |
PEEK(ピーク) | 高耐熱・高強度。医療・航空部品向け |
メリット・デメリット
メリット | デメリット |
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・金型不要で初期費用が安い | ・量産には不向き(コスト高・時間がかかる) |
・短納期対応が可能 | ・材料ロスが出る |
・複雑形状や高精度部品に対応可能 | ・樹脂によっては変形や反りが出やすい |
樹脂切削加工と他工法の違い
比較対象 | 特徴 |
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射出成形 | 金型が必要。量産に適し、1個あたりの単価が安い |
3Dプリンタ | 試作向け。形状自由度は高いが強度・精度に制限あり |
切削加工 | 高精度・短納期・小ロットに最適 |
用途例
- 精密機械の部品(スペーサー、ベアリング受けなど)
- 医療機器部品(検査治具、歯科部品など)
- 電子機器部品(絶縁体、端子カバーなど)
- 試作品(成形前の形状検証)
金属切削加工(きんぞくせっさくかこう)とは、金属素材を工具で削って目的の形状・寸法に仕上げる加工法で、精密部品や機械構造部品の製造に欠かせない基盤技術です。
金属切削加工の概要
工作機械(旋盤、マシニングセンタ、フライス盤など)を使って、金属素材から不要な部分を除去しながら形状を作り出す加工方法です。
高い寸法精度と表面仕上げが可能で、量産から試作まで幅広く対応できます。
主な加工方法
加工法 | 特徴・使用例 |
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旋盤加工 | 回転する素材にバイトを当てて削る。軸物・円筒形状に最適 |
フライス加工 | 回転する工具で平面・溝・段差などを削る |
マシニング加工 | NC制御で複雑形状・3次元形状も高精度に加工可能 |
穴あけ加工 | ドリルやリーマを使って精密な穴を開ける |
研削加工 | 仕上げに使う。高精度・高平滑な表面を実現可能 |
使用される主な金属素材
金属 | 特徴・用途例 |
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アルミニウム | 軽量・加工しやすい。電子部品・機構部品など |
ステンレス(SUS) | 耐食性が高い。医療機器・食品機械など |
鉄(SS、S45C等) | 一般構造部品に使用。強度とコストのバランスが良い |
真鍮(C3604等) | 切削性良好・見た目も良く、装飾品や電気部品に多用 |
チタン | 強度・耐食性◎。航空機部品や医療用インプラントなど |
メリット・デメリット
メリット | デメリット |
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・高精度・高品質な仕上がりが可能 | ・切削による材料ロスが発生する |
・あらゆる形状に対応可能(3次元曲面なども) | ・成形加工に比べて加工時間がかかることも |
・小ロットでも対応可能(試作にも最適) | ・複雑形状や多工程ではコストが高くなりやすい |
金属切削加工の活用シーン
- 自動車・バイク部品(エンジン部品、ブレーキ部品)
- 航空機関連部品(フレーム、機構部品)
- 医療機器(手術器具、精密治具)
- 半導体製造装置の構成部品
- FA(工場自動化)機器の部品
- 試作品・治具製作
他の加工法との違い
比較対象 | 特徴 |
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鋳造 | 溶かした金属を型に流して成形。複雑形状に強いが精度は低い |
板金加工 | 板材を曲げたり打ち抜いたりする。量産や軽量構造に適する |
放電加工 | 電極と放電で金属を削る。硬材や微細加工に強い |